PNFとは、1940年代アメリカにおいて、神経生理学者であるKabat医師や理学療法士のKnottらにより神経生理学的原理を基に作られたリハビリ手技です。 PNFは、英語のProprioceptive Neuromuscular Facilitationの略語で、日本語では「固有受容性神経筋促通(法)」と訳されています。
脳血管障害や脳性麻痺など、何らかのきっかけにより神経障害や筋力低下が起きると、筋肉と脳神経の連動が弱くなり、動作に痛みや違和感を持つようになります。PNFでは、皮膚、筋、関節など体中にある感覚受容器から、熟練したセラピストの徒手による適切な刺激と操作を脳に与えることで、体の動きを指令する脳神経と神経筋の弱まった結びつきを再び活性化させ、人間が本来持っている運動機能を引き出していきます。
Kabat医師
Maggie Knott
理学療法士
PNFは、Kabat医師とKnott理学療法士の「障害者を含めすべての人間は、未だ引き出されてない潜在能力を持っている」という哲学に基づいて行われる、リハビリテーション治療のひとつの技術です。この哲学とともにPNFの基礎となる原則があります。
この前向きな機能的アプローチは、我々が感じ、患者を刺激し、治療から高い結果を手に入れる最も良い方法であり、この哲学に基づいて、PNFは行われています。
セラピストによって与えられる刺激としては、触覚刺激、抵抗による刺激、関節刺激(牽引、圧縮)、伸張刺激、パターンによる刺激などがあり、その他にも聴覚刺激、視覚刺激などを目的に応じて用い、機能に繋げてゆくことができます。PNFの施術はこちらからご覧ください(YouTube)。
首・肩の施術(01:48)
腰の施術(01:17)
股関節の施術(01:30)
膝の施術(01:06)
PNFは本来、脳血管障害や脳性麻痺などによる神経障害、筋力低下、協調不全、関節可動域制限などの改善または、日常生活に必要な運動機能を獲得、向上させるために、目的とする生体反応を引き出す治療法ですが、現在では、体全体の筋バランス、柔軟性、敏捷性、持久力、反応時間、運動能力の低下など運動機能の改善と向上に応用され、高度なスポーツ技術の獲得、向上のためのSkill(巧緻性)にも応用できることから、一般臨床だけでなくスポーツの分野でも幅広く用いられるようになっています。